学生読書日誌

ハッピーヘブンのふきだまり

主に読書感想文をかきます

『デジタル・ミニマリスト』と『スイッチ!』で睡眠をガチで改善します。今度は嘘じゃないです。

クソみたいな睡眠を繰り返す毎日

頭が重い。
動悸がする。
腹の調子が悪い。
自分のアホさ加減にイライラする。

カーテンの下から真っ白い朝日がさしてきて、セミがわんわんじゃかじゃか鳴きはじめていた。
就寝時刻は午前5時。
当然の帰結として、目が覚めて布団から立ち上がれたのは正午過ぎ。
連休最終日の午前中をドブに捨てた。

これが友達とハメを外して遊んでいた、とかならまだ交際費の一部として計上できそうなもんだ。
しかし問題は、無目的なネットサーフィンの結果、こんなことが常習化していることだ。
「なんとなく寝る気がしない」というあやふやなモチベのまま、2chの過去ログを読み漁り、はてな匿名ダイアリーに渦巻く怨念を消費して、質の悪い睡眠に苦しめられている。

「なんとなく寝る気がしない」という惰性。
こいつが曲者であり、ここ10年弱戦い続けている宿敵だ。

脳みそ、身体、メンタル。
これらすべてをいっぺんに回復できる貴重な時間を、情報のジャンクフードを買うために浪費し続けている。
今朝(といっても昼間)目覚めて不調を実感して、こんな自分にいよいよ嫌気が差した。

タバコを気前よく吸うためにビタミンCを摂る。
ラクして蓄えを作るために積み立てNISAを買う。
健康と充実感のためにゴールドジムに通う。
見た目の改善のためにひげ脱毛とシミ除去をやる。
恋愛コンプレックスを解消し、人間関係の枯渇に備えるためにマッチングアプリ修行に励む。
専門性コンプレックスを解消し、安定して金を稼ぎ続けるために勉強に励む。

自分のことをそれなりの生活改善ガチ勢だと思っていた。
人生という限られた時間から最大限楽しさを搾り取るために、通り一遍のことには手を付けている自負があった。
しかし、根本的な心身の回復をおろそかにしたまま数々の"有効っぽい"ことをやっていても、基礎工事を行わずにタワマンを建てるようなものだ。
人生の上澄みを享受し続けるためには、土台となる体力と精神力が充実していなければならない。
それをおろそかにし続け、本気で取り組んでこなかった自分の愚かさにうんざりしている(文体がやけにアグレッシブになっているのも、睡眠不足による情緒不安定っぽい)。

そうこうして、真剣に睡眠を改善するために、本格的に作戦を立てようと思った。
そんな時、使えそうな知見がまとまっていた本を読んだことがあったのを思い出した。
これらを活用して真の生活改善を成し遂げるのだ。
後々の自分が振り返るために、せっかくなのでブログ記事として書き起こそうと思う。
この脳内作戦会議議事録が、ネットの海で誰かに役立てば僥倖だ。

『デジタル・ミニマリスト』へ『スイッチ!』して安眠を得る

原因分析と方針

まず、自分が直面しているのはインターネット依存である。
インターネットがもたらすパチンコ的射幸性に、生活の主導権を奪われている。
ブラウジングしても尽きないインスタントな記事や動画によって、報酬系がバグり、本当に"お得"な良い睡眠という選択が出来ない。

ここに効きそうなのが『デジタル・ミニマリスト』という本で、スマホ依存脱出の手引きとして書かれたものだ。

実を言うと冒頭のような問題意識は常日頃抱えており、Twitterの断捨離に成功したのはこの本を読んだ5月ごろだ。
しかし、Twitterと決別しても、Safariがいて、Youtubeがいるのである。
結果、本質的なデジタル断捨離には至れずに今こうして苦悩している。
今一度本書の内容を振り返って、守るべき方針を復習したい。

本書を雑に要約すると、以下のような主旨になる。

  • 昨今のデジタルコンテンツは間欠強化(ランダムな報酬)と承認欲求という概念を利用して、ユーザを行為依存に陥らせるように出来ている
  • 受動的な利用=依存への道なので、どんなメリットを得るために使うのか、明確で具体的な基準を作る

他にも(特にSNSについて)興味深い主張が繰り広げられているが、大枠は上記の通りだ。
依存性の完全な治療には至らなかったが、この本を読んだだけで、少なくともTwitter依存からは抜け出せた。
エビデンスベースで読みやすく、確かに読者を行動に導いてくれる良書だ。

「どんなメリットを得るために、そのデジタルコンテンツを消費するのかという基準を作る」
これが、漫然としたネットサーフィンを止めて睡眠を改善するために、本書から編み出せる1つの方針だろう。

しかし、自分はこれを意識するだけでは完治には至らなかった。
人間の自堕落さを前提として、この方針をどう行動に落とし込んで守っていくか、というカスタマイズされた戦術が必要だ。

戦術

ここで助けになりそうなのが、『スイッチ!』という本で、人間の行動に変化を起こすためのアプローチがまとめられたものだ。

再度雑に要約すると、「1)どうすればいいか頭でわかっていること、2)やる気になっていること、3)やりやすい状況にあること、この3つの相互作用が働いたときに、人間は行動を起こす」という主旨。
これを前提に、1)理性、2)感情、3)環境へのアプローチがまとめられているのが本書である。
例えば以下のようなTipsが、豊富な事例とエビデンスと共に紹介されている。

  • ブライトスポットを探す
    理性へのアプローチ。
    現状の問題点ではなく、ほかの成功例に目を向けて、それを援用するということ。
  • 最初の一歩を描く
    同上。
    まず真っ先に取るべき行動を具体化すること。
  • アイデンティティを養う
    感情へのアプローチ。
    脳は短期的で簡単に手に入る報酬に惑わされるが、これを超えるにはより強固な感情的信念を持つことが有効。
  • 失敗を覚悟する
    同上。
    行動に変化を起こす過程は困難で、失敗はつきものだが、これを理解して覚悟しておかないと、人間は簡単にダメージを受けて挫折してしまうという。
  • 環境を変える
    環境へのアプローチ。
    望む行動を取りやすく&不適切な行動を取りにくくする。

スマホ依存治療&睡眠改善に役立ちそうなものを抜粋してみたが、これらはあくまで一部だ。
「個人の生活、組織の文化、ひいては社会と、何か変えるにはまず、それらの構成要素である人間の行動を変えなければいけない」という、著者が依拠する前提も地に足がついていて、汎用的な良書だと思う。

余談だが、偶然にも『デジタル・ミニマリスト』も『スイッチ!』もハヤカワのノンフィクションだった。
SFもそうだが、つくづくいい本を出す出版社だと思う。

作戦まとめ

これらの本から得られた知見を元に、睡眠改善の作戦をまとめてみよう。

まずは方針。
「どんなメリットを得るために利用するのかを決めて基準を作る」ところ。
(受動的な消費以外で)スマホのブラウザを使うメリット、個人的には調べもの一択だ。
つまり、何かを調べる以外でSafariを開かない、というのが大きな方針になる。

次に、方針を守るためのポイント。
Twitterのケースを考える(ブライトスポット)と、とりあえずアカウントを消して使えなくしてしまい、ブラウザ版からもログアウトして履歴を消してしまう、というのが有効だった。
ブラウザに利用制限をかけてしまう(最初の一歩)のがいいだろう。
方針から考えると、原則利用できないように設定(環境を変える)し、調べものが必要な時にだけ一時的に数分間制限をOFFにするというのが効きそう。
ネットサーフィン依存に苛まれて、十分な睡眠をとれない自分の愚かさを自覚して(アイデンティティ養成)、これをアップしたら即設定する。

こんなところだろうか。
たとえしくじっても、またこの記事を読み返して作戦を改良すればいいと、繊細になりすぎずに構えておこう。
そう、失敗は覚悟の上である……。