学生読書日誌

ハッピーヘブンのふきだまり

主に読書感想文をかきます

2017年読んだ本10選(後半)

kyuteisyukatsu.hatenablog.com

2017年に読んだ本を10個選んで紹介企画。

こないだ公開した記事の後編やっていきたいと思います。

 

ここまで前半で紹介したので、以下五冊をこの記事で紹介します。

では早速やっていきましょう。

 

暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)
 

 

瀕死の体で内定を取って以降、死ぬほど退屈だった時期にTUTAYAジャケ買いした本です。

著者の國分功一郎さんは、

・暇=人間の生活に余った時間がある状態

・退屈=ある時間をつまらなく感じてしまう心の状態

と定義して、退屈を克服し、できるだけ充実した人生を送るにはどのように生きたらいいか?(倫理学)というテーマに取り組んでいます。

 

内容は決して短くはありませんが、その過程はとてもわかりやすく、哲学史的にも勉強になります。

結論には賛否両論あるかとは思われますが、國分さんも作中で書かれているとおり、この問題について読み進める中で、答えを得るために自分なりに頭を働かしていくこと自体に意義があると思います。

 

メタ倫理学入門

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

 

 

メタ倫理学ってなんやねん。ごもっともです。ぼくも門外漢ですし。

メタ倫理学とは、「どのように生きるのが良いか」を考える倫理学分野の一種であり、一歩引いた立場(メタな立場)で倫理を考える学問のこと、らしい。

具体的に書くと、

「どんな生き方が良いかっつーけど、そもそも良く生きる必要あんの?楽しく生きてきゃ問題なくね?」

「道徳とか不道徳とか言うけど、結局そんなん人の主観次第、状況次第じゃね?」

「いや、まずそもそも道徳ってなんやねん!どーいう意味で言ってんの?」

といった、倫理学における「そもそも」について考えていく分野をメタ倫理学というそうです。ちなみに日本では、この本が唯一最初の入門書らしい。

 

とっつきにくいと感じる人も多いかもですが、身近な具体例を散りばめながら、各論に深入りしすぎないように構成されているためとても読みやすいです。

上の具体例みたいな疑問を抱くことは誰にでもあると思いますが、そういう日常的な感覚を、本を使って突き詰めて考えてみるのは意外と楽しいっすよ。

 

勉強の哲学

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 

ぼくはミーハーなので、帯の「東大・京大~」を見て手に取りました笑

勉強する、ということはどういうことか?について考察している本です。

 

この本で覚えているのが、

「一般的に勉強は知識を獲得する営みだと思われているが、どちらかというと古い見方・考え方を破棄・更新する点で、脱皮に近い」

「能動的に勉強するとは、所属コミュニティのノリを一時的に外れること。誤解を恐れず言うとキモくなることである」

ここらへんのフレーズですね。

勉強という活動が及ぼす自己への変化だけではなく、それが及ぼす外界との関係の変化について言及しているのが新鮮で面白かったです。キモさを恐れずやっていきたい。

 

 

ちなみに、ここまであげた3冊は全部学部の勉強なんかとは全く関係ないです。

人文思想系の本を専攻も関係なく読んでるの、それこそコミュニティでキモがられて浮きそうっすよね笑

しかし、こうした類の本を読むことで、自分の無意識的価値観を認識したり、他者の価値観に寛容になれたりといった利点が生まれることもあるかと思います。

 

まあ、頭でっかちになっちゃったら意味ないんですけどね。

そのへんの勉強の弊害に関しても、『勉強の哲学』では言及されてます。

 

BUTTER

BUTTER

BUTTER

 

 

はい、かってぇテイストの本ばっかりだったんで小説行きましょう。

結婚詐欺&殺人容疑で逮捕された女性にたいして、週刊誌記者が独占インタビューを挑むという筋書き。

首都圏連続不審死事件 - Wikipedia

本作はこの、木嶋早苗容疑者の事件をモデルにして書かれているそうです。結構話題性ある事件だったので、この時点で興味を引かれる人もいるんじゃないでしょうか?

 

内容自体も、獄中の人間に主人公が徐々にのめりこんでいく様がめっちゃスリリングでおすすめ。直木賞最終候補に残った秀作ですよ。

あと、地味に飯テロ小説です笑

これも感想記事書いてるんでよかったら。

柚木麻子『BUTTER』:しがらみに苦しむ現代人にオススメの直木賞候補作 - 学生読書日誌

 

ライ麦畑でつかまえて

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

 

 

「あーなんか、タイトルだけ知ってるわ」って人が多いんじゃないでしょうか。

有名な古典的ジュブナイル小説ですね。

端的に紹介するなら、人間潔癖症の青年の苦悩を描いた作品です。

 

印象的だったのは、主人公が

「一面に広がるライ麦畑で遊びまわる子供たちが、道をそれて崖から落ちてしまいそうになった時、それを抱きつかまえて畑へ帰してあげるような仕事だけをしていたい」

と吐き出すシーンです。

甘ったれてる!でも、なんかその気持ちわかるわ……と趣深い感情に襲われました。

就活を経験した一般家庭の人間なら、少し共感できるんじゃないでしょうか。

 

これも個別記事あるのでぜひ……

『ライ麦畑でつかまえて』ネタバレ感想 - 学生読書日誌

 

まとめ

前半と合わせて、以上10選が個人的2017年TOP10ですかね。

とりあえず、読んで損はしないと言えるセレクションだと自負しておりますので、よろしければいずれかを手に取ってみてください!