学生読書日誌

ハッピーヘブンのふきだまり

主に読書感想文をかきます

腰を据えずにノリでやる

見るものがなくなった

デジタルデトックスを目指してSafariTwitterにスクリーンタイム制限をかけた結果、「上限決まってるし今はいいや」と惰性でネットを見る時間が減った。
利用上限を設けると、リソースの重要性にかかわらず節約を心がけるんだと思う。

今までもスクリーンタイム機能を試したことはあったのだが、その時は時間超過による利用制限が形骸化してしまったので、我ながらなぜうまくいったのかわからない。
コロナ自粛での浮世離れがかなり本命くさいが。

そういうわけでネットを見なくなった代わりに、土日の寝起きに布団でSNSをいじっていたような感覚で本を読むようになった。
なんもやることが無い時間をつぶすために、カジュアルに本を使えるようになったのはかなり理想的で、このまま老後までいけそう。

特に、仕事の合間の煙草タイムでKindleを開けるようになったのが大きくて、そのおかげで3冊くらい読み進められた。

最近読んだもの

1冊目が森絵都の『出会いなおし』で、時間をおいてこそ改めて気づくことができる自分や他人の多面性のようなものをテーマにした短編集。

個人的に気に入ったのは、ほかの短編とは若干異色な感じの『テールライト』だった。
この短編では、出会いなおし、という本作のタイトルとは裏腹に、今際の別れ際の祈りにフォーカスするような掌編が続く。
シメの掌編もなかなかテイストが重たくて、テールライトというタイトルに”後の祭り”的な意味合いを見出してしまった。

出会いなおし (文春文庫)

出会いなおし (文春文庫)

2冊目が『功利主義入門 はじめての倫理学』で、ちょっと前の新書100円セールでお菓子掴み取り感覚で買ったものだ。

新書をいい流れで読み終えられたことがあまりなくて、これまで少し苦手意識を持っていたのだが、この本はかなり読みやすかった。
たぶん、新書はフォーマットが定まっていないからこそ、著者の読者への歩み寄り方や文章力が露骨に出るのだと思う。

功利主義という分野については「最大多数の最大幸福」というフレーズが力強いな~くらいの認識しかなかったが、これ一冊でそこからは結構アップデートできた気がする。
特に修正された功利主義に関しては、あまりスタンスを取っている感じがしなくてなかなか新鮮だった。
ラディカルさを抑えて「みんなの幸せが大事」と主張するのは、もはや普通の人と何ら変わらないのでは?という雑な印象。

あとは、「倫理っていろいろ極限状態で思考実験するけど、人間そんな風に実践できるようになってねーから」という、(最近よく見る気がする)行動経済学っぽい知見からの批判にもちゃんと言及しているのがよかった。

3冊目は『教養としてのコンピュータサイエンス』で、C言語の大家のブライアン・カーニハンが書いた入門書。
教養としての、という枕のとおり、技術書というよりは読み物といった感じで内容的にはライトだったと思うのだが、ちょっと読み進めるのがしんどかった。翻訳の癖か構成の癖か。

とはいえ、独特な語り口のおかげで印象に残った概念もあって、「物理的な設計と論理的な構造を完全に区別できるのがコンピュータシステムのキモだ」みたいなところは面白かった。

Time Flies

そして、こういう生活習慣が定着すると日々が過ぎるのが早くなった気がする。 ふつうはこういうのって、「惰性で時間を過ごさなくなって、日々が記憶に残るようになりました」みたいに言うもんだと思っていたのだが。

もう7月も3分の1がすぎてしまった。
とりあえず早めに雨が上がってほしい。