学生読書日誌

ハッピーヘブンのふきだまり

主に読書感想文をかきます

書評:『イシューからはじめよ』

「根性に逃げるな」(本文より)

 

いかに社会人二回目の月曜日を迎えようかと気構えながら、日曜の夜に書いています。

昨日の今日でビジネス本の書評記事なんて、意識が高いというより浮き足立ってるって感じですが、絶望しているよりはきっと健全だろうし、まあいいんじゃないかな。

 

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概要

さて、今回読んだのは『イシューからはじめよ』という問題解決手法の本です。

著者の安宅氏は東大・生物化学修士、イェール大・脳神経科学博士でありながら、マッキンゼーでもキャリアを積み、現職ではYahooの経営企画担当という猛者。肩書の暴力。

そんな著者が、戦略コンサルタント脳科学者としての知見を活かし、「会社や大学において質の高いアウトプットを出すには、どのように問題に取り組むべきか?」をまとめたのが本書です。

 

主旨

本書中盤はがっつり具体的手法が書いてありますが、なにせ自分はまともな仕事も研究もやったことがないので、ぶっちゃけ理解度は薄いです。

なので、今回は本書全体に一貫して現れている前提の考え方みたいなのが紹介できればと思います。

 

・仕事の質を左右するのは「課題を上手く解くこと」ではなく「重要な問題、すなわちイシューを見極めること」

著者は、研究や仕事において成果の価値を規定するのは、「その問題の重要性」と「問題への解の質」の掛け合わせだが、多くの人は後者にしか目が向かないと言います。

例えるなら、どれだけ簡潔明瞭で優れたパワポを作ってもテーマが的外れなら無意味、ということでしょうか。

転じて、仕事でも研究でも、まず取り組む問題の策定が先立つ以上、何よりも先に重要な問題を見極める力を養うべきだとされています。

数撃てば当たるの精神でがむしゃらに取り組むのは、力も上がらずいたずらに現場を食い荒らす「犬の道」だとまで言っていますが、面白い比喩ですね(笑)

 

・問題をイシューたらしめる要素は、本質的な選択肢であること、深い仮説があること、解くことができる問題であることの3つである

上述から、「じゃあイシューってなんやねん」という疑問がおのずと湧き上がりますが、著者はこのように説明しています。

各々説明すると、1つ目は、その問題の結論が大きな影響力を持つこと。

2つ目は、設問が、多少強引でもスタンスを取った仮説であること。例えば、「~の市場規模がどうなっているか?」ではなく「~の市場規模は縮小しつつあるのではないか?」と表現すること。

3つ目はそのまま、現状の環境、スキル、手法で解決することができるものであること。

これら3要素を備えた「重要な問題」こそがイシューであり、ビジネスマンや研究者が見極めるべきモノだと。

 

 ・必ず期待された以上の結果を出すという、自分の中のシビアさが大前提。労働時間や努力の大小は仕事の本質ではない。

そもそも本書で紹介する問題解決手法は、こうした仕事に対するある種の積極性というか、貪欲さのようなものがないと機能しないと著者は言います。

誤解を招きそうなので付記すると、冒頭引用部の通り著者は根性論を否定しています。

 

感想

ざっくりした紹介でしたが、具体的な問題分析以外の部分は上のようにまとめられると思います。

 

個人的には3つ目のトピックがいろいろ考えされられました。

 

こうした「意識の高さ」的なものをチラつかせられると条件反射的に中指立てたい人って多いと思います。どっちかというと自分もその人種なんですが(笑)

ただ、ブラック企業の根性論なんかとはまったく別だって前提で、結果に対して貪欲さがある人間とそうでない人間でどちらが良い結果を出しがちかというと、そりゃ当たり前に前者なんですよね。

昨今の情勢を鑑みると、仕事の文脈だからこそこういう姿勢に拒否反応が出がちなのかもしれません。

でも結局部活やら趣味やらでも普遍的に言えることじゃないかなと思います。

なんつーか、自分の中だけでもその辺の中二病」から脱却しなきゃと身につまされるような圧のある本でした。

 

とりあえず、明日からの新卒研修2週目もそんな感じでまた頑張っていきたいと思います。