学生読書日誌

ハッピーヘブンのふきだまり

主に読書感想文をかきます

最高最悪の映画『22年目の告白 -私が殺人犯です-』を観ました

おはようございます。今日も面接前の暇つぶしに、御苑前のファミレスからお届けしております。

内定は未だ出ません。誰かwebライターとかのオファー下さい。


笑えない冗談はさておき、久々にパワーがある映画を見たので感想書きたいと思います。核心部分のネタバレ無しで、見た当時のガチ感情を綴っていくつもりなので、普段よりは文章の精度とか落ちると思いますが、その分何も考えずに流し読みできると思います。


さて、今回は藤原竜也伊藤英明のW主演『22年目の告白 -私が殺人犯です-』を見ました。ジャンル分けするなら社会派サスペンスってとこでしょうか。


過去に5人もの連続殺人を遂げていながら、刑訴法の改正時期の関係でまんまと時効を手にしてしまった男が、事件についての「告白本」を出版し、世間を大きく騒がせるところから話が始まります。

"殺人犯"の行動は記者会見に始まり、告白本のサイン会、youtubeでのインタビュー、被害者遺族訪問とやりたい放題。告白本も爆売れベストセラー入り、その甘いマスク(藤原竜也)から女性ファンもみるみる急増。遺族たちはもちろんブチギレ。

そして、過去に事件を担当しながらも犯人を検挙出来なかった刑事は、沸き立つ世間の中、もはや法では裁けなくなったこの犯人に対してどう向き合うのか?


あらすじはざっくりこんな感じです。この時点で悪趣味ですね笑  

司法の守備範囲を超えた社会悪、その話題性にしか目が向かない愚かな大衆、そして、死刑に値する罪を犯していながら絶対安全を自覚し、傍若無人に振る舞う犯人。徹夜明けにラーメン二郎を提供されるようなヘビーさです。観客が「真面目」であればあるほど、この構造は醜悪に映るでしょう。ぼくはこういうの好きです笑

しかし、鉄板をぶん殴ると、拳の痛みと引き換えにいい音が響くものです。社会の穴を的確にエグって観客の正義感に鈍痛を食らわすことで、この映画の問題意識はダイレクトに届いてきます。


言ってしまえばありふれた「裁けない悪」というテーマですが、恋愛モノで「認められない恋」が必ず盛り上がるのと同じで、倫理と感情の葛藤は決して陳腐化しません。パワーは健在です。


また、テーマのパワーを最大限引き出すための演出もきめ細かく工夫されてます。

刑事や遺族たちが当時を思い出す際のフラッシュバック、記者会見の際のおぞましくも鮮烈な映像投影などなど、焦燥と不快を掻き立てる程よい音響と併せて見ていて飽きません。

もちろん演技も申し分ない。こういう作品は被害者遺族の演技にフラストレーションを晴らす機能が求められがちですが、役者は皆、殺意満タン嘆き爆発といった正統派演技を堂々と見せつけてくれます。藤原竜也のダークヒーローっぷりも良いです。

巷では、「藤原竜也主演作品はハズレ無し説」が囁かれているようですが、なんだか納得してしまいました。


さて、ここまで長々とあらすじでも推測できる範囲のストーリーにしか言及していないのですが、実はコレ、ただの問題提起作品ではありません。純粋なエンタメとしても、非常に楽しませてくれます。

その要素を詳細に語るとネタバレなので控えますが、とにかく後半の展開が怒濤。物語は途中から全く異なる色を見せます。

そこからはかなりケレン味が強くなるのですが、多少のアラは吹き飛ばして観客を引っ張っていきます。そういう意味でもパワフルな映画です。

もちろん、展開が加速した後にも悪趣味要素は健在笑  個人的にはラスト2シーンで制作者たちの悪意にどっぷり浸ることが出来ました。シーン自体の意外性は薄いのですが、しっかり王道を押さえてます。

ネタバレを控えつつ後半の展開のキーワードを考えるなら、「因果は巡る」って感じになるでしょうか。ぜひとも劇場でその真価を確かめていただきたいです。



そんなわけで、この辺で終わりにしたいと思います。

直近の映画の中では激推しなので、ぜひ見ていただきたい。『怒り』とか好きな人にはハマると思います。

それでは。