学生読書日誌

ハッピーヘブンのふきだまり

主に読書感想文をかきます

往年の名作、映画『レオン』のネタバレ感想

「ねえ、大人になっても人生はつらい?」

インターンカリキュラムがほぼ完全に終了し、えげつない解放感を一身に浴びてAmazonプライムで映画を見ました。

今回見たのは『レオン』。もともと名前は知ってたんですが、twitterで激推しされてて面白そうやなと思い視聴決定。

関係ないですけど、ぼくのような人種にとっては、twitterは良作おすすめツールとして非常にハイスペックですね。FBの顔も知らない知り合いかも?のリコメンドよりはだいぶ実用的です。

さて、この映画のあらすじです。

悪徳麻薬捜査官に一家を殺されてしまった少女マチルダが、隣人だった殺し屋レオンの元に助けを求めて転がり込みます。危機が去り、一度は追い出そうとするレオンでしたが、マチルダに「このまま放り出されたら結局奴らに殺される」と懇願され、渋々ながら彼女を受け入れます。そこから、レオンがマチルダに復讐のための殺しの技術を教え、マチルダはレオンに読み書きを教える、2人の奇妙な共同生活が始まるのでした。

いわゆる、「ひょんなことから……」系のストーリーです。

ほぼプライムの紹介文丸パクリですがまあいいでしょう。

個人的に感じたこの映画の魅力は以下の3点です。

1.キャストの演技力

2.レオンとマチルダの愛情

3.演出

1.キャストの演技力

この映画、だいたいメインキャストは主人公2人とレオンに仕事を斡旋するオッさん、悪徳捜査官の4人ほどになるのですが、彼らが皆とてもいい演技をします。

レオン役のジャン・レノですが、観葉植物と牛乳をこよなく愛する中年オヤジと、冷徹に仕事をこなす"掃除屋"というレオンの両面を違和感なく演じきっています。

ぼくがいいなと思ったシーンは、初めて人を殺した時のことをマチルダに語るシーンです。その時の殺しをずっと心に留めているレオンからは悲壮な人間味が漂っています。

総じて創作における「殺し屋」というキャラクター像の王道をしっかり押さえてるなーと感じましたね。映画史には詳しくありませんが、もしかしたらこういうキャラクター像の先駆けがレオンなのかもしれませんね。

マチルダ役のナタリー・ポートマンも非常に可愛らしく、それでいてシリアスにも耐えうるいい演技でした。煙草が異常に似合ってて、白人の顔立ちはずりいなーと思いました。

個人的には、捜査官役もまさに怪演といった感じで、とてもツボな悪役でした。

麻薬取締のためならチンピラ紛いの部下を使って殺しも辞さない。捜査官のくせに仕事の前には明らかに薬をキメている。ツッコミどころ満載のヒールでありながら、何をやらかすか分からない狂気が演技から滲み出ていました。

2.レオンとマチルダの愛情

2人は物語が進むにつれて、恋愛とも親子愛とも師弟愛ともつかないような、なんとも表現しがたいニュアンスの愛情を育みます。

特に好きなところで、上述の初殺しのエピソードから繋がるシーンでレオンがマチルダに腕枕をして寝るシーンがあるのですが、職業柄熟睡ができない性格だと再三描写されてきたレオンが、朝起きた時にマチルダに「いびきをかいていた」と伝えられるシーンがあります。その時のレオンの驚きまで含めて、2人の絆を感じられるとても和やかな場面でした。

ゆえに、ラストが辛いのですが……

3.演出

これも、劇中通して奇をてらわない王道を抑えたタイプの演出です。ぼくは伊坂幸太郎の小説の伏線回収を連想しました。

好きなところだと、最終的にレオンは捜査官に撃たれてしまうのですが、今際の際に捜査官に対して、「マチルダからのプレゼントだ」と自らの体に巻きつけた手榴弾のピンを握らせる演出ですかね。これ、手榴弾を使った不意打ちの殺しの手口を、劇中盤でレオンはマチルダに教えてるんですよ。その辺まで含めてニクイ演出だなと思いました。

あとはエピローグで、マチルダが自分の通い始めた学校の校庭にレオンの観葉植物を植え替える演出なんかも、ありがちながらしっかりツボを押さえていると思います。

「ゆくゆくは、しっかりと大地に根を張って生きて行きたい」と語っていたレオンの望みを、最後の最後にマチルダがある意味叶えてやるわけです。

これらの、作中の何気ないディテールがクライマックスに関わってくるという手法が伊坂感の所以ですかね。作品的には順番逆ですけど笑

1996年の作品ですが、しっかりとストーリー展開の王道を踏まえており、主人公たちの関係もハートフルでいい映画でした。

機会があれば是非。